2017年10月13日

骨模型販売

整形外科手術ナビゲーションの精度検証用 骨模型セットを販売しています。

日本へ新たに導入/開発したナビゲーションの精度検証や研究のためにご活用されませんか?

様々なメーカーのナビゲーションを精度検証した実績を増やして、この骨模型セットを精度検証の標準となるように目指しています。

精度検証方法がこの骨模型によって確立できれば、将来的にたとえ発展途上国で開発されたナビゲーションシステムであっても安全性・有効性が示せるなら日本への導入も簡単になると考えています。

また、これまで医療分野で利用されていなかった技術を組み込んだナビゲーションの開発を進めることにも役立つと考えています。

ぜひ、整形外科医の先生、ナビゲーション開発しているメーカーのエンジニアの方、医用工学の研究者の方のご研究にご利用いただければと思います。

 

製品開発の背景)

整形外科の分野では変形した骨の治療のため人工関節に置換する手術が行われています。

人工関節の設置位置・角度が適正でないと術後の患者の行動範囲に制限や人工関節の使用期間が短くなってしまいます。

近年では手術中に骨に対する手術器具の位置・角度をリアルタイムに画面表示できる整形外科手術ナビゲーションシステムが使用されるようになってきました。

図のように骨盤と骨切除器具にリファレンス(ナビゲーションが認識できる参照)が設置されています。

ナビゲーションのカメラが骨盤と器具のリファレンスを同時に認識することで、相対関係をモニターにリアルタイムで表示します。

モニターには手術前の計画で設定した目標角度と現在の角度が表示されています。

目標角度に現在の角度を近づけることで、期待通りの角度で人工関節を設置できることになります。

 

人工関節の設置位置・角度をより正確にするために、実績あるメーカーのナビゲーションシステムを導入するケースや、新しいナビゲーションシステムを評価するために使用されるケースがあるかと思われます。

いずれの場合でも実際の手術で使用する前にこれまででも骨盤模型を用いて装置自体の精度検証を行われていると考えています。

従来から通常実施されている精度検証方法だと、ナビゲーションを用いて骨盤模型に人工関節を設置した後にCTスキャンを行い、画像解析ソフト上で骨盤に対する人工関節のカップの軸を角度計測されています。

具体的には骨盤の基準平面に対して人工関節のカップの軸を角度計測し、術前計画の目標角度との誤差を調べることになります。

骨盤基準平面の定義は複数ありますが、下記の画像はAPP(Anterior Pelvic Plane、左右の上前腸骨棘と恥骨を通る平面)という骨盤基準平面で画像解析している様子になります。

※骨盤基準平面の定義はCAOS JAPAN 人工股関節三次元評価方法の指針(2014年版)に合わせています。

この通常実施されている精度検証方法ですと次のことが課題となります。

術後に必ずCTスキャンをすること、画像解析を実施する必要があるということです。

また、術前計画で登録した基準平面と画像解析時の基準平面を一致させることが非常に難しいため計測誤差が生じることです。

 

そこで、本サイトでは画像解析するより、もっと簡便、正確に精度検証できる骨模型セット(骨模型+DICOMデータ)をご購入できるように用意いたしました(特許出願済、特願2016-208673)。

製品の原理)

CADソフト(マテリアライズジャパン株式会社 Materialise 3-matic)上でCTデータを元に骨盤モデルを構築し、さらに骨盤基準平面の参照点(複数個の三角錐)と人工関節の方向を示す円柱を埋め込みました。

図ではAPPの定義するために左右の上前腸骨棘と恥骨の位置に三角錐を配置しています。

また骨盤下方にAPPの向きと合わせた立方体を配置しています。

さらに臼蓋には人工関節(カップ)の方向を示す円柱(骨盤基準面に対してRadiographic定義の外方開角40度、前方開角15度)を配置しています。

 

この状態にしてから、立体(三角錐、立方体、円柱)の埋め込まれたCTデータ(DICOMファイル)を出力しています。

このCTデータには骨盤基準面の参照となる三角錐が埋め込まれているので、どのメーカーのナビゲーションシステムでCTデータを読み込んでも同じ骨盤基準面とカップの目標角度を登録することができるようになります。

また、同じ3Dモデルデータを用いて3Dプリントした模型も製作しています。

 

そうすると、このCTデータを読み込んで手術計画を行ったナビゲーションシステムを用いて、3Dプリントした骨盤模型の円柱の方向(人工関節のカップの方向)を計測することで誤差をすぐに知ることができるようになります。

なぜなら骨盤にある円柱は骨盤基準面に対して極めて正確に外方開角40度、前方開角15度に向いているので、ナビゲーションシステムが表示する画面で角度が41度、17度のようになっていれば外方開角誤差1度、前方開角誤差2度ということが示せます。

角度を正確に表示するように開発されているナビゲーションシステムであるのに、誤差が生じる原因としてはカメラ精度や骨の位置をナビゲーションに登録する手法による影響があると考えています。

 

以上が製品の原理となります。

 

この骨盤模型セットには半股、1患者両股、2患者統合型があります。

いずれも骨盤基準面であるAPPに対してRadiographic定義の外方開角40度、前方開角15度方向の直径3.2mmの穴が2個あります。

その穴には直径3mmのKワイヤー(ステンレス丸棒)を挿入することができます。

2個穴がある理由は1個の穴に挿入した丸棒がたとえ何らかの問題で傾いて挿入されてしまった場合に、もう1個の穴にも丸棒を挿入していれば傾いていることに気づくことができるからです。

精度検証のときにはこの丸棒に平行となるように臼蓋リーマーまたはカップ打ち込み器を配置して下さい。

2患者統合型は1患者模型を2個購入するよりはコストを抑えるために用意しています。

2患者統合型は各患者について骨盤基準面を確認するために恥骨と左右の上前腸骨棘を残しています。

 

精度検証は複数の患者模型で実施された方がより良い検証となるため、骨変形の度合いが異なる12症例を用意しています。

Crowe分類1、2、3、4それぞれ3症例ずつの12症例の骨模型セットがあります。

海外から導入したナビゲーションシステムの機種によっては骨変形の度合いの強い日本人の症例で誤差が大きかったという報告があります。

様々な症例で精度検証を行うことは重要だと考えています。

検証時の必要性に応じてご購入される製品の種類をご選択いただければと思います。

補足)

本製品の骨盤の基準平面はStryker社ナビゲーションシステムのFPP(Functional Pelvice Plane)も設定しています。

Stryker社ナビゲーションシステムのFPPはCAOS JAPAN 人工股関節三次元評価方法の指針(2014年版)でも示されていますが、解剖学的座標系に臥位での骨盤傾斜を加えた状態に、さらに水平基準を坐骨結節、正中基準を仙骨中央と恥骨結節を結ぶ線を基準とした座標系となっています。

つまり、CT撮影状態(ベッドに対して骨盤傾斜している状態)から、さらに坐骨結節61と62を結ぶ直線を水平基準とし、仙骨中央63と恥骨結節64を結ぶ直線を正中基準にした座標系となっています。

 

本製品のCADソフト上のモデルではFPPを定義するための左右の坐骨結節、仙骨中央、恥骨結合の位置に三角錐を配置しています。

またFPPに対応する人工関節(カップ)の方向を示す丸棒(Radiographic定義の外方開角40度、前方開角15度)を配置しています。

したがって、本製品は精度検証したいナビゲーションがAPP基準でもStryker社ナビゲーションのFPP基準でも対応が可能となります。

 

ピンクの立体はAPP基準に関連、水色の立体はFPP基準に関連しています。

汎用性が高い模型となっておりますので、ぜひ様々なナビゲーションの機種で本製品を精度検証にご活用下さい。

 

骨模型セット